ムラカミのナンパ日記

京都人が東京ではんなりナンパする

初めて番ゲと準即したときの話

12月。クリスマスシーズン真っ只中。

グレーのチェスターコートにハットという、今考えるとキャッチにしか見えない服装をしながら、大学生の僕は声かけに勤しんでいた。

 

ナンパを初めて1ヶ月くらいたったが、完ソロはできず、合流しても地蔵、1日3声かけ。番ゲ無し。目立った成果は出てない。

 

この日も、いつも合流しているKさんと一緒に難波の地下にある「なんばウォーク」という場所に居た。Kさんはどんどん声をかけ、番号をゲットしていく。そんなKさんに「ムラカミくんも頑張りなよ〜」と言われる。

「頑張りたいのは山々なんですけどね。なんか怖くて」。

こんなやりとりをもう10回くらい繰り返した。

 

「もお、ほなおれが指名するわ!あの人!グレーのチェスターコートお揃いやし!はい!いこ!」

 

(うわあ、指名来てもうた。)

「…はい。いきます。」

 

心臓が飛び出そうとはこういう事を言うんだろうなあ、というくらいドキドキしながらその人に近づいていく。

 

あと3m

あと2m

 

心の準備ができてない、と少し歩くスピードを緩める。

あと1m

 

深呼吸する。

 

声をかける。

 

「あの!!」

 

女性がこちらを見る。

 

(鼻たかっ!!てかかわい!!)

 

当時経験人数2人の素人童貞の僕は、あまりの可愛さに1秒くらい固まる。

 

(何しゃべろ。どうしよ。)

「あの〜、ユニクロってどこですかね?」

 

もぞもぞした奴がいきなり話しかけてきて、ユニクロの場所を聞いてくる、という犯罪スレスレの状況に彼女も固まる。

 

固まる彼女をみて、何か喋らないと!と思った僕は

 

「あの〜…ユニクロ……ユニクロ……ユニクロ……ユニクロ……どこすかねぇ?」

 

と、唐突にユニクロという単語を連呼する人になった。もう死にたい。

今回も失敗かあ、謝ってKさんとこ戻ろ、と思っていた。

 

 

「………ユニクロですか??ユニクロなら一個下の階にありますよ。」

微笑みながら彼女が言う。

 

答えてもらえると思っていなかった僕は

「え?え?」

と戸惑いながらも、「ありがとうございます」と礼を告げる。

 

返答してくれるチャンスなんて二度とないかもしれないと思った僕は

「今から帰るところですか?」

「いきなり話しかけてごめんなさい。」

「あ!じゃあユニクロまで一緒に来てくださいよ!」

と、よくあるナンパテンプレートのような言葉を並べてなんとか、ユニクロまで一緒に行く。

 

到着したユニクロで辻褄合わせに、本当は必要ないヒートテックを一緒に買った。

 

もう帰るという彼女を難波駅の改札まで送る。

「もし良かったら今度ご飯でもいきませんか?すごく肉汁の溢れるハンバーグ屋さんがあるんですよ。」

番ゲ打診。

OKがでる。

 

人生で初めての番ゲ。

Kさんも一緒に喜んでくれた。

 

その一週間後。

彼女とご飯に行く。

ダーツをする。

終電が無くなる。

そしてそのままホテルに行く。

 

準即。

 

彼女は27歳だったので、大きめのおっぱいはちょっと垂れていた。お腹もちょっとぷよっとしていた。

でも最高に達成感のある瞬間だった。

でも今思えば、終電逃させてホテルなんて男らしくないなあと思う。

 

初の準即を達成した後。

「どうして付いてきてくれたの?」

と聞くと

「なんかすごいウルウルした目で見られるから、犬みたいでつい。笑」

と、なんとも複雑な理由を告げられる。

 

 

少しの間の沈黙。

 

僕が口を開く。

「まああの時声かけて良かったよ。」

 

彼女もそれに答える。

「私も声かけてくれて良かったよ。」

 

布団の中で2人で笑う。

 

結局彼女とは1年半付き合い、東京に行くタイミングで別れた。

 

 

ナンパには夢がある。

ナンパをしてなければ、鼻筋が綺麗な27歳Fカップという、全く生活圏の違う女性と出会う事もなかったし、その人と深く関わる事も無かった。

 

 

初心に帰ってこれからもナンパを楽しもう。

 

素敵な女性に

「声をかけてくれてありがとう」

と言われる人間になろう。